田中 優次
DreamRugby福岡 実行委員会 会長
福岡県ラグビーフットボール協会 会長
福岡のラグビーは強い、本場のラグビー熱をぜひ福岡にも!
DreamRugby福岡 実行委員会発足
委員会の活動と目的
― DreamRugby福岡 実行委員会の活動と目的を教えていただきたのですが、なぜ発足されたのでしょうか?
元々、ラグビーワールドカップ2019™に向けての話の中で、「まっとうばい! ラグビー世界最強の男たち」と名付けたプロジェクトチームを福岡青年会議所とつくし青年会議所を中心に設立し活動をしていました。
そうした取り組みの中で、昨年オークランド市と福岡市は姉妹都市締結30周年を迎えたということで、福岡市にニュージーランド オークランド代表チームとの親善試合をしたらどうかということで動き始めました。
その動きがトントン拍子に進み、福岡県知事・福岡市長含めて官民一体となった動きになり、「DreamRugby福岡 実行委員会」を発足しました。
私が福岡県のラグビー協会会長をしていたこともあり、実行委員会のトップに立った訳です。
昨年11月14日に親善試合を行うにあたっての調印式も行われ、8月上旬にラグビーのオークランド代表チームを招待して親善試合を開催することも決まっています。
― まずは親善試合を成功させてというところから?
そうですね。
― 将来的な一番の目標としては?
最終的な目標は、ドリームラグビーをきっかけにニュージーランドの福岡への誘致ということですね。
― オールブラックスのラグビーワールドカップ2019™の際のキャンプ地に?
そうですね。
ニュージーランドのオークランド市へ公式訪問、その成果
― 今年の2月にニュージーランドのオークランド市へ公式訪問されましたが、その成果を教えていただけますか?
昨年の調印式でオークランドラグビー協会のアンドリュー・ダルトンCEOに福岡市に来ていただいたので、こちらからもご挨拶に行かねばと思い訪問することが決まりました。
その訪問で、私の予想以上の大歓迎を受けました。
到着した空港のロビーでは地元の高校生が「ハカ」を披露してくれまして、空港に居合わせた観光客もその迫力に皆さん驚いていましたよ。
その後のイーデンパークスタジアム訪問では、訪問メンバーのネーム入りユニホームやロッカールームのネームボードをプレゼントしていただくなど、こちらでも大変手厚い歓迎を受けました。
ニュージーランドラグビー協会、前会長のアンドリュー・ダルトンさんも来てくださったんですよ。
更に、オークランド市議会議事堂での市長主催の歓迎式典に招いていただき、フィル・ゴフ市長から「私も必ず福岡に行きます!」というとても友好的なご挨拶をいただきました。
式典にはオークランドラグビー協会のマイク・ドノバン会長にお越しいただき、会長から記念にいただいたのがこのオブジェです。
8キロもあるとても重い木彫りのユニホームのオブジェで、受け取る際はその重さにとても驚きましたよ!
ヨットのマストの材料などに使われているそうなんですが、原生林に生えるカウリというとても貴重な木で出来ているそうです。
このオブジェが高島市長への、オークランド訪問のお土産です。
― 歓迎式典ではオールブラックスの選手が参加されたとか?
そうなんです。オールブラックスのOBにも参加していただき、福岡の魅力をアピールしました。
他にも日本領事や日本人会の会長などたくさんの方にお越しいただき、その歓迎ぶりにとても驚かされました。
― 現地に行かれての感触、今後の親善交流の発展と将来的にオールブラックスのキャンプ地に福岡が選ばれるという手応えというものは感じられましたか?
十分にありましたね。
とは言っても、日程が決まるのはもう少し先で、どこのチームが何日に試合するかお話しできるのは、まだ先になりそうです。
それがある程度見えてこないと確約はできない所はあります。ですが、かなりの手応えはありました。
8月の対オークランド戦 親善試合の目的・狙い
― 今回8月に福岡で行われる親善試合の目的や狙いを教えていただけますか?
まずは、宗像に拠点のあるサニックス監督の藤井さんがオークランドの選手との交流もあるということで、サニックスとの試合が決まっております。
最初にも申し上げましたが、今回の取り組みは福岡市とオークランド市の姉妹都市締結30年周年記念事業の一貫として親善試合をやろうということなので、ぜひ福岡市内に拠点を置くチームとの試合を行いたいと思い進めています。
― 相手はオークランド州選抜ということで、それなりのレベルかと思いますが。
そうなんです。
今の段階では、オークランド選抜に何人入るか決まっていませんが、ぜひオールブラックス選手を入れて欲しいという要望を入れております。
― オークランド州選抜にオールブラックスの選手が入ってくる可能性もあるということですね?
ありますね。
― 今回の試合は当然福岡市民が見に訪れるかと思いますが、どれくらいの福岡市民に来て欲しいですか?
もちろん、出来たら満員にしたいですね。満員に近いくらい集めたいです。
レベルファイブスタジアムは2万5千人入るので、そのスタジアムをぜひ満員にしたいと。
― ラグビーワールドカップ2019™では福岡も会場になっていますが、そのワールドカップに向けたドリームラグビー実行委員会としての思いをお聞かせください。
ラグビーはサッカーや野球などの他の競技に比べ、大人も子ども競技人口が少ないんです。
数で言うとマイナーな競技ですが、福岡は非常にラグビーが盛んな地域なんです。
これをきっかけにラグビーファンを増やしたい、ラグビーをする子どもを増やしたいという思いもありますし、今回の取り組みをきっかけに福岡という町に日本中、あるいは世界中の人に来てもらって福岡の良さを知ってもらいたいという思いもあります。
そういったことも含めて、当然経済効果もありますので、福岡市のアピールも併せてして行きたいと思っています。
福岡のラグビーは強い、だからもっと伸び伸びとプレーできる環境を
福岡のラグビー環境の特徴と今後の課題
― 先ほど仰っていましたが、今の福岡はラグビーのレベルは高いと思うのですが、現状の特徴と今後課題があるとしたらどういったところでしょう?
まず、レベル的には福岡の中学校の試合成績はほとんど優勝か準優勝、高校はご存知の通り東福岡が何連覇もしているという、そういったレベルです。
なぜそんなに強いかと言うと、少年ラグビーチームの数が人口に対して非常に多いんです。大阪と変わらないくらいなんですよ。
そういったこともあって、小学校・中学校からクラブなどで競技できるという、裾が広いということ。ラグビー協会登録者数は6600名なので、47都道府県中、東京・大阪・神奈川に次いで4番目、ということもあったラグビーにかかわる人口がとても多いということ。
そういった点がトップレベルにある理由と言えるんじゃないでしょうか。
課題に関しては、私が福岡県のラグビー協会会長を務めていますので、県レベルでお応えしますと、今女子ラグビーも注目されてきていますので、大学あるいはクラブの女子の競技者数を増やしていきたいという風に思っています。
それと、サッカーなどと違って財源の確保が大変なんですね。色んなことをしようとしても、思い切ったことが中々出来ないということがあります。
入場者数についても、トップリーグの試合ではそこそこのお客さんは入りますが、1万人以上入ることは中々ありませんので、もっと観客数を増やしながら財源を確保していきたいと考えています。
それと、ニュージーランドに行って実感したんですが、ニュージーランドにはポールの立った芝のグラウンドがあちこちにあるんです。
気候上の問題もありますが、福岡には芝のグラウンドが無い、しかも専用グラウンドがないということで、ぜひラグビー用の専用グラウンドが欲しいなと思っています。
どうしてもサッカーや陸上競技兼用のグラウンドになってしまうんですが、出来れば専用グラウンドが欲しいですね。
やはり、ベアグラウンド(芝のないグラウンド)ではく、芝のグラウンドが欲しいですね。やっぱり芝の方が思い切ったプレーが出来ると思いますので。
ニュージーランドの子どもたちでも、ベアグラウンドで試合させると恐る恐るするんですよ。ぜひ福岡の子どもたちにも、芝のグラウンドで思いっきりプレーさせてあげたいです。
― やはりニュージーランドに行ってみると向こうではそういった環境が整っているのでしょうか?
そうですね。まず、環境の違いに驚きますね。
― こういった課題を解決するにはラグビー人口が増えて、人気が高まっていくことで改善していけるということでしょうか?
そうですね。本場ニュージーランドとは競技場の規模も違いますし、ラグビー熱がやっぱり違いますね。
それと、タグラグビーと言ってタックルをしない危険性の低いラグビーの大会が定期的に行われているわけですが、こういった催しものにより多くの人が参加してくれれば 、ラグビーをしていない子どもたちにも普及出来るのではないかと考えています。
タグラグビーは近頃の体育の授業でも取り入れられ始めてるんですよ。
ラグビーは球技の中でも格闘技と言われていますので、子どもを鍛えるには大変良いスポーツなんです。全天候、雨が降ろうと雪が降ろうと決行する競技はラグビーしかないと言われてるんですけどね。(笑)
そういうことで、ラグビーファンを増やして、一人でも多くラグビーに触れてもらいたいという願いがあります。
ラグビーの魅力とは?
― 会長ご自身が感じられるラグビーの魅力というのはどういったところでしょうか?
先ほども言った通り、ラグビーは他の競技に比べ、経験者の数は少ないんです。
例えば、居酒屋にいる隣の若いお兄さんがラグビーやってるって言えば「ラグビーをやってたのか!飲め飲め!」という風になるのがラグビーなわけですよ。
野球やサッカーをやってたって聞いても「やってたのか!飲め飲め!」とは中々ならないでしょう?(笑)
ラグビーは他の競技よりも同志になりやすいと私は思うんですよ。それはラグビーの魅力かなと思いますね。
やっぱり球技の中の格闘技と言われるだけあって、ラグビーはチームプレイの最たるものなんですよね。
― 今後、オールブラックスを福岡に誘致するにあたってどのような予定を立てられていますか?
まずは、この親善試合を成功させるのが一番ですね。
それによって、福岡はどれくらい魅力のある都市か 、オールブラックスのキャンプ地としてどれくらい良い環境であるかをアピールしていきたいと思います。
― オールブラックスの福岡誘致、期待しています!お時間をいただきありがとうございました。